C-RAN スモールセルとは?

従来のワイヤレスアーキテクチャでは、物理的な基地局でベースバンド処理と無線機能を兼ねていました。C-RAN(Cloud RAN もしくは Centralized RAN の略称)では、多数のセルを対象としたベースバンド処理が集中しています。C-RAN の利点として、セル間を連係する機能によるパフォーマンスの向上、リソースをまとめて使うことによるコスト削減が挙げられます。

クラウド RAN のコンセプトは通常、屋外のマクロセルに適用されます。また、オフィスビル、スタジアムなどの広範な屋内スペースや広い場所に張り巡らされているカバレッジを提供するスモールセルにも適用できます。コムスコープの OneCell® ソリューションでは、クラウド RAN アーキテクチャのベースバンド集中化の原則をスモールセルに応用しています。ただし、OneCellは、4 つの重要な点において通常の C-RAN ソリューションを凌駕しています。

  1. 単一セルを形成します。
  2. 複数の無線エンドポイント機能と連係させます。
  3. その他のさまざまなフロントホール用 IP イーサネット LAN を使っています
  4. その他のさまざまなスモールセルの利点を活用しています
C-RAN スモールセルネットワークの図で、ベースバンド処理が複数の屋内アクセスポイント、C RAN、スモールセル、C-RAN に対して集中化され、プーリングされているのがおわかりでしょう。
OneCell の C-RAN アーキテクチャでは、境界干渉やハンドオーバーを発生させずに単一セルを生み出すために、ベースバンド処理はベースバンド・コントローラーにおいて集中的に行われます。

ワンセルソリューションは設計上、以下のような重要な利点があります。

  • ワイヤレスユーザーの利用体験の改善
  • セルのバーチャル化による干渉なしのキャパシティ追加
  • キャパシティプランニングとアップグレードの簡素化
  • マクロネットワーク干渉の減少
  • 配備時間の削減
  • 未来を先取りしたソリューションの提供
Airvana OneCell ベースバンドコントローラーと複数ラジオポイント, C-RAN アーキテクチャ, C RAN, スモールセル, C-RAN
OneCell ベースバンドコントローラー(1U シェルフに 2 点)と無線ポイント

ワイヤレスユーザーの利用体験の改善

従来のスモールセルでは、大きな屋内スペースで緊密に配備されると、セル間で大きな重複領域ができました。干渉はこの領域の境界で発生します。エンタープライズスモールセルのなかには、集中型サービスコントロ―ラーを使用してハンドオーバーやバックホール集積に対応するものもありますが、各セルの近隣における物理現象を回避することはできません。コムスコープによる試験と iBwave モデルにより、この重複領域の SINR(signal-to-interference-plus-noise ratio:信号対干渉プラスノイズの比率)が 10 から 25 dB 減少し、データ速度が最高 90% 減少して VoLTE 音質が損なわれることがわかりました。

複数の独立セルが形成されることにより、ハンドオーバーを頻繁に行う必要性が生じ、ハンドオーバーが実行されなかったり、隣接したセル間のハンドオーバーを常に往復して行う、いわゆる「ピンポン」現象が起こり得るため、ユーザーの利用体験を損ないます。

OneCell では単一セルが形成されるため、セル境界が全くなくなります。これは無線ポイントを通してユーザーのスケジュールを集中化することによって達成されます。サービスコントローラーとは異なり、ワンセルのベースバンドコントローラーはすべての無線ポイントと全ユーザーを通して、集中的にスケジュールすることにより LTE リソースブロックを行うので、カバレッジ領域全体で一貫した強いシグナルを提供することができます。

ワンセルの C-RAN ソリューションが、一貫したワイヤレス受信カバレッジを形成, C RAN, スモールセル, C-RAN
従来のスモールセルでは境界が形成されるため、干渉が生じ、どうしてもハンドオーバーが問題となります。ワンセルのクラウド RAN では、境界干渉やハンドオーバーのない単一セルを形成するため、一貫性あるクオリティの高いユーザー体験が期待できます。

さらに、無線ポイントにはそれぞれ 2 つのアンテナがあるため、2 つの無線ポイントでは、4x2 MIMO(ユーザー機器 (UE)にアンテナが 2 つしかないと仮定して)、あるいはユーザー機器 4 つのアンテナを サポートする高度 LTE である場合は 4x4 MIMO、3 つの無線ポイントでは 6x2 MIMO が達成できます。この屋内 MIMO 機能は、複数の無線ポスト間で動作を連係させる集中 RAN の手法でのみ可能です。

セルのバーチャル化による干渉なしのキャパシティ追加

ネットワーク機能の仮想化(NFV)はモバイルネットワークのオペレータのための戦略的ツールです。集中型 RAN アーキテクチャにより、NFV を超えて実際の無線リソースのバーチャル化が可能になります。C-RAN 利用のセルバーチャル化により、オペレータは、セル間干渉を生じさせることなく高キャパシティを提供することができます。

コムスコープの OneCell ソリューションでは、広範な場所全体に単一の物理的セルを形成し、境界干渉とハンドオーバーをなくします。しかも、ワンセルの効用は単一セルの容量に留まりません。セルバーチャル化と呼ばれる画期的な手法を用いて、複数のバーチャルセルを単一の物理的な セルの中に形成することも可能です。

セルバーチャル化により、同一の LTE リソース内で、異なるユーザー向けの異なる無線宛に異なるユーザーデータを配信することができます。クラウド RAN ベースバンド装置は各々のユーザーのロケーションを「知って」おり、二人のユーザーが十分に離れたときにそれを感知し、干渉の恐れなしに同じ LTE の物理的リソースブロック (PRB) を再利用して、両者に対して同時にサービスを提供できます。

この形式のバーチャル化は、従来のスモールセルのように連係なしにスペクトラムを静的に再利用するのではなく、スペクトラム再利用にインテリジェンスを加えたものです。そのため、多くの独立したスモールセルのマルチセクター容量が実現し、境界干渉をなくすことにより、セルエッジでユーザーデータ速度が最高 1,000%と、一桁違いで増加します。また、ユーザーデバイスは単一セルのみ追跡するため、電池寿命も改善します。

5G 標準関連でセルバーチャル化が常に話題に上るのもうなずけます。しかしながら、現在、LTE では、コムスコープの OneCell ソリューションでセルバーチャル化の利点を利用することができます。

 
セルバーチャル化により、ミリ秒毎に動的に PRB をユーザーに割り当てることにより、境界干渉を生じさせることなしに容量が増加します。

キャパシティプランニングとアップグレードの簡素化

C-RAN スモールセルは、セルバーチャル化を通して実現する以上の容量改善を提供します。従来のスモールセルアーキテクチャでは、各アクセスポイントにおけるカバレッジ領域に対する容量は一定でした。これは使用量が場所全体において均等に配分されているときにのみ機能しますが、このような状況はまずありません。結果的にオーバーロードのアクセスポイントがある一方で、利用度の低いものが出てきます。

OneCell ソリューションでは、容量は中央のベースバンドコントローラーに集積され、利用に応じてその時点で動的に割り当てられます。そのため領域全体においてユーザーの本来の動作に対応でき、システムの容量を最大限活用できます。

C-RAN はまた、容量拡張を簡易化します。独立のスモールセルでは、容量を追加する唯一の方法はセルを追加することであり、新たなセルの境界が重なることにより、干渉が発生します。ワンセルでは、新たなセルやセル境界を作ることなしに、ベースバンドコントローラーで中心的に容量を追加することができます。

中央ベースバンドコントローラー内のワンセルダイナミックワイヤレスキャパシティ, C RAN, スモールセル, C-RAN
ユーザー容量は集中的に集積され、ユーザーがビル内を移動するにつれて必要となる場所に動的に割り当てられます。

マクロネットワーク干渉の減少

コムスコープの OneCell ソリューションで採択されている単一セル集中RAN では、以下のような重要な手法によって、オペレータがスモールセルとマクロネットワーク間の干渉を管理、緩和できるようにします。

  1. ワンセルは単独の基準信号を使うため、隣接するマクロ基準信号を回避することができます。
  2. 複数のワンセル無線ポイントは個別のユーザー機器に対して合同で送信することができ、無線ポイントの送信出力をマクロネットワークと干渉する水準にまで高めることなく、マクロ信号との干渉の問題を回避できます。
  3. 合同アップリンク受信により、ワンセル無線ポイントは単一のユーザー機器からアップリンク送信信号を合同で受信し、その後コントローラーで結合されます。これによりユーザー機器は低出力での送信が可能になり、マクロアップリンクの干渉が軽減されます。
  4. 無線ポイント間干渉の阻止結合により、ベースバンドコントローラーは干渉阻止結合 (IRC Interference Rejection Combining) を行って隣接するマクロ関連ユーザー機器からの信号を検出してキャンセルすることができ、ワンセルシステムへの干渉を最小限にします。
  5. ビルの一方、また角における強度のマクロ信号からの干渉は、当該領域において、アクセスポイントの送信出力を上げたり、アクセスポイントを追加することにより、回避することができます。システムにより単一セルが形成されるため、新たに干渉が生じません。

配備時間の削減

コムスコープの OneCell ソリューションのクラウド RAN スモールセルアーキテクチャは、配備ライフサイクルを通じてコストを削減します。ワンセルは境界干渉なしに単一セルを形成するため無線周波数やハンドオーバー設定といった特定かつルーチンの手間を省くことができます。また、無線ポイントの追加や移動など、システム設計の変更も、支障をきたすことなくできます。

マクロベースバンドに基づいたソリューションとは異なり、OneCell ソリューションは標準イーサネット LAN と、フロントホールには Cat5e 配線を用いています。独自にネットワークを用意したり、コスト高の同軸ケーブルやファイバー配線を使う必要がありません。無線ポイントの動力はイーサネット (PoE+) であり、別にアンテナ基地へ電源を引く必要がありません。この「Wi-Fiのような」配備モデルでは、コストと複雑性が大幅に削減でき、設計、設置、後のシステム変更が簡単にできます。実際の設置は、普通に LAN を設置する技術のある IT の人員によってできます。

スモールセルソリューションとして、ワンセルは高い容量に対応した手間のかからない配置に最適です。システムはプラグアンドプレイになります。無線ポイントとベースバンド・コントローラーが自動的にお互いを認識し、認証します。ワンセルは、オペレータのコアネットワークにあるコムスコープのデバイス管理システム (DMS: Device Management System) から自動的に設定できます。一連の自己組織化ネットワーク (SON: Self-Organizing Network) 機能により、システムはマクロ環境に向けて最適化されています。そのため、ワンセルは、パフォーマンスを全面的に最適化する一方で、システムを設計、展開、維持するための労力、専門知識、コストを最低限にします。

未来を先取りしたソリューションの提供

高まるサービス需要とテクノロジーの変化に応じて、ビル内ネットワークは常に進化すべきであるというのがコムスコープの考えです。ワンセルの C-RAN アーキテクチャは、こうした変化に柔軟に対応すべく、土台から隅々にわたるまで綿密に設計されています。

ワンセルシングルセルアーキテクチャでは、既存の配備へのキャパシティやカバレッジの追加が簡単にできます。容量はベースバンドコントローラーに集積されるため、無線やアンテナのインフラに関係なく、コントローラーで新たな容量を追加することができます。ビル内で新たにカバレッジを拡張させたいとき、無線ポイントは必要に応じて簡単に追加できます。セル境界が形成されないため、既存のインフラには影響しません。

ワンセルは複数キャリアおよび複数オペレータ向けの配備をサポートします。周波数帯は共通のハードウェアで、ソフトウェアに応じて決まります。最初のハードウェア設置は異なる周波数帯はもちろん、異なるモバイルネットワークオペレータに応じても設定することができ、ニュートラルホストのビジネスモデルをサポートします。

OneCell のベースバンド・コントローラーはパワフルなマクログレードチップセットを使用しており、ソフトウェアのアップグレードにより LTE 高機能をサポートできます。

OneCell のアーキテクチャは、未来を想定しながら設計されています。


その他のリソース

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